『スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ』 〜庄内ロケの西部劇〜
源平合戦に題材
平家と源氏が争った壇ノ浦の戦いから数百年後の日本。ここは平家の落人が拓いた村。この村に平家再興の黄金が埋蔵されているとの噂が立った。よそ者が大挙して押しかけ、村の土地は掘り返されて荒れ放題に。そこに馬に乗った平家の赤い集団がやってくる。
血で血を洗う抗争に
村人は同じ血筋の彼らを救世主と期待したが、彼らは極悪非道な集団で、村人から略奪の限りを尽くし墓場さえ掘り返す。そこに白い集団、源氏が黄金を我が物にせんと乗り込んできた。平家と源氏の血で血を洗う抗争が勃発し、村人は続々夜逃げを始める。そんな荒れ果てた村に、凄腕(すごうで)のガンマンが流れてくる。平家と源氏は、このガンマンを自分たちの用心棒にしようと抗争は激化の一途をたどっていく――。
豪華なキャスティング
凶暴で狡猾な平家の首領・清盛に扮するのが佐藤浩市。清盛への忠誠を尽くす重盛役に堺雅人、冷酷で美貌の源氏の首領・義経に伊勢谷友介、義経の家来で狂気をはらむボウガンの使い手・与一に安藤政信、義経の右腕で暴れん坊弁慶に石橋貴明、夫アキラを清盛に惨殺され、義経に身を委ねる静に木村佳乃、雑貨屋を切り盛りする静の姑ルリ子に桃井かおり。このほか小栗旬、香川照之、伊藤英明などがワキを固める。贅沢なキャストである。適材適所の配役の中、石橋貴明には物足りなさ、桃井かおりには役の物足りなさを感じたが、ラスト近くになり、ようやく2人を起用した意味が分かってくる。
ロケは庄内映画村!
これらの俳優たちが鶴岡市の庄内映画村で撮影したと思うだけで興奮を覚える。台詞はすべて英語。だからなのか、日本を舞台にしているのに違和感なく西部劇として楽しめた。庄内特有の黒い瓦屋根がまた荒涼とした風景にマッチしているのだ。
遊び心がうれしい
ストーリーのベースは黒澤明の「用心棒」。三池崇史監督は少年の日に覚えた黒澤映画、西部劇、特にマカロニ・ウェスタンへの感動・高揚感を自らの手で表わしたくなったのでないか。その想いに共鳴して集結したのがあれらの俳優陣だった。物語の舞台は根畑の湯田。これは西部劇でよく登場するネバダ州とユタ州から来ているのだろうが、遊び心が見え、アキラ、ルリ子の役名に日活「渡り鳥シリーズ」へのオマージュも伺え、うれしい。
佐藤浩市が東根に
暴君の清盛を演じた佐藤浩市さんが2007年10月20日に「ひがしね湯けむり映画祭」にやって来ます。
敬称略