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『HERO』 〜「キムタク色」の作品〜

2001年1月から「HERO」というタイトルのドラマがフジテレビ系で始まった。主演はキムタクこと木村拓哉

型破りの検事

キムタク演じる久利生公平は、10代のころ、かなりのワルで警察の世話になり、高校を中退。その時に出会った検事に憧れ、大学検定試験、司法試験をパスして念願の検事になったという変りダネ。茶髪で服装は常にカジュアル、法廷でもスーツ姿とは無縁。だが正義感は人一倍強く、納得いくまで徹底的に捜査し事件を解明していく。1月から3月まで全11話の視聴率はすべて30%を超え、平均視聴率でもフジテレビ連続ドラマ史上1位を記録。キムタクが2000年12月に結婚してから最初のドラマだったことを勘案すると余計に恐れ入る。

満を持しての映画化

現在公開中の「HERO」は満を持しての映画化なのである。
 ストーリーは結婚を数日後に控えて幸せの絶頂にいた青年が、理不尽なことで命を奪われる。逮捕された容疑者が犯行を認めたため起訴、簡単に結審すると思われた。  だが初公判で容疑者は「検事に自白を強要された」と全面否認。取り調べた検事は久利生の先輩なのだが、彼は自身の離婚問題を抱えており、裁判の担当を久利生が引き受けることになる。容疑者の弁護士は、刑事事件無罪獲得数日本一というすご腕。大物政治家の汚職が絡むほか、特捜部の横槍も入り、まさに「前門の虎、後門の狼」状態。久利生はこの苦境を抜け出すことが出来るのか――。「検事は罪の重さと被害者の悲しみを加害者に気づかせるのが使命」という久利生の信念が揺らがず描かれているのが嬉しい。

多彩な出演者

東京地検城西支部のお馴染みのメンバー、松たか子阿部寛八島智人大塚寧々勝村政信小日向文世角野卓造のチームワークは健在。児玉清田中要次らがワキを固め、そこに松本幸四郎イ・ビョンホン中井貴一香川照之らがどう相対するのか、そして大物政治家は誰か――。  これだけ多彩な出演者がそろいながら、作品全体がキムタク色に染め上げられている。「武士の一分」にも感じたことだが、キムタクは現代のヒーローとまではいかないが、ただ者でないことは確かなようである。

敬称略